週間予報の精度は?

天気の予想=観測値+数値予報モデル
という関係性があります。

観測値はいわゆるRAWデータ。観測された値そのままで予測値ではありません。
一方、数値予報モデルとは、スーパーコンピューターを用いて計算した値のことです。
この数値予報、地球を約20km四方の格子に区切り高度100層にわたって分割し、観測値を各格子点に
入力し計算させます。
GSM
気象庁気象研究所参照

これを全球モデル(GSM)といいます。

計算結果と実際はもちろん異なってくるのですが、どれくらい乖離したかによって数値予報にはアタリ・ハズレが出てきます。
これだけ細かく区切っても格子点間隔は大きいので20km以下の小さな積乱雲などを考慮出来ていません(正確には「非静力学モデル」として組み込まれる「パラメタリゼーション」は行ってます。)
完全な数値予報は不可能です。

では数値予報がどれくらいの精度まで落ちるとハズレなのかというと
「気象値予報」の精度まで下がるとハズレということになっています。
※気象値予報とは30年間の累計平均値の予報ことです。

◆◆
数値予報は、時間的には半日から数日先までの「短期予報」までが限度で
週間予報にいたっては、実は60%くらいの確率でしかありません。
そこで細かく修正していく方法が、先の「パラメタリゼーション」です。

また、数値予報では予測不可能な直近1時間の予想は、雨雲の把握のために用いられる
気象庁の「レーダー」や「アメダス」を使って降水ナウキャストとして発表されています。

◆◆
このように週間天気予報で一喜一憂する必要はなく来週が雨でも晴れになる可能性もあると捉えてみて下さい。
これらを考慮し、気象庁では3日以降の天気の予報精度をA、B、Cで評価しています。
日本で訓練されてる方や旅行の計画に使えます。
http://www.jma.go.jp/jp/week/

GWは晴れで本当に良かったですね。
これから沖縄の方から台風の季節です。
また台風に関して書きたいと思います。

見よ、弱虫。

台風8号が日本に接近していますね。
意味不明なタイトルですが、これは台風の風速を覚えるための語呂です。
「みよ(34)、よわ(48)むし(64)」←ベテラン教官に教わりました。

以下が台風の定義です。
10分間平均の最大風速
-33kt      ・・・Tropical Depression (TD) 熱帯低気圧
34 – 47kt    ・・・Tropical Storm (TS) 台風
48 – 63kt    ・・・Severe Tropical Storm (STS) 台風
64kt-      ・・・Typhoon (TY) 強い台風

ウェザーブリーフィングで聞かれたらこの語呂を思い出してみて下さい。

◆◆
台風8号という名前ですが、毎年1月1日から発生した順に台風に番号をふっていくのはあくまで日本固有の呼び方。
気象庁のこの表を見てもらえればわかりますが国際標準的には「Neoguri」韓国語で「タヌキ」の意味。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html

ですから台風9号は「ラマスーン」と呼ばれるでしょう。
「国際標準」の呼称でブリーフィングするのもいいかもしれません。

◆◆
台風の動きについて。
低気圧は、500hPa面の等高線に沿って移動し、等高線がこんでいるほど、その速度は早いものです。」(新・天気予報の手引きp132)
にありますように、基本的には500hPaの風を見ろと教えられています。

METAR, TAFはあくまで参考値

フライト前のブリーフィングでウェザーについて確認する時
「地上天気図を見てみますと・・・」
と言ったところ

地上天気図ASAS、FSASをポイッとされて
「上層だけで説明してみて」
と言われました。

VFRの時は地上天気図で気圧配置を確認し、
850,700,500hPaの様子を見て湿域と上昇流の一致=雲
衛星画像とエマグラムを参考に雲低、雲頂高度を確認
エコーの確認。
METAR, TAFで訓練時間中VMCを維持してクロスカントリーが出来るのか、
ということをブリーフィングしていました。

それと同じように言ったら
「それではIFRはできない。上層の天気図の見方の勉強不足」と言われました。

◆◆
今思えばエコーや観天望気を参考に結局METAR, TAFが判断の決め手になっていたと思います。
実際VMCで飛べるような日はエンルートも良いコンディションのことが多く、巡航高度も低かったので成り立ってました。

METAR, TAFだけで判断するなら機械的なので上層を見なくてもいいですよね。
たしかに可否判断は法律上METAR, TAFでできます。
しかし、「そんなパイロットでいいのか、、」という話を教官はして下さいました。
「上に上がってみて臨機応変に対応する=行き当たりばったり。地上にいるときからこんな気象が予想されるのでどう対処するのか、ということを考えているレベルに達しておくべき。」だそうです。

エアライン機で飛ぶ場合、FL400辺りを飛ぶのが普通です。地上とは状態が異なっています。
揺れたり、CBがあったり、着氷域があったり、
そういったものは解析して正確に予想して高度を選定することで安全・効率的な運航は出来ます。

それがパイロットの仕事なのに上層の解析が甘かったなと痛感しました。

◆◆
地上天気図はあくまで上層の気象の結果なので上層の解析が本当にできているなら見る必要はありません。
IFRでは(VFRの時からできておくべきでしたが)
FXFE5784、FXFE502、FXJP854での解析が非常に重要です。
また、FXJP106/112やエマグラムをはじめ、断面図はかなり有効です。
FBJPや気象庁Metairの下層悪天予想図
などを使ってエンルートも含めて安全に運航が出来ると解析できた後、METAR, TAFを見て「やっぱり行けるな」
という具合にするべきです。

といった経緯から、私は最近の訓練では地上天気図は使わず上層のチャートだけを使ってブリーフィングする練習しています。
「気象は経験でその内わかるようになる。という考えの”いつか”は努力しなければ来ないしそんな奴に飛行機は任せられない。」
「機長になりたいなら、なんとなく、はナシ。 ”~と思います”は空想でしかない。 解析をしなさい。」
という数々の言葉を頂きモチベーションが上がりました。

◆◆
最近では台風も出てきたのでそっちの勉強もしておこうと考え
気象予報士の同期に、何かクライム出版の書籍以外の勉強法はないかと聞いたところ
youtubeの気象予報士のがいいよと教えてもらいました。
台風に伴うスパイラルバンドについてなどわかりやすかったのでご紹介いたします。
【てんコロ、気象予報士講座】
台風

とてもわかりやすいです。

また、詳しく解析してみたいと考えていた衛星画像に関しても動画があったのでご紹介します。
気象衛星画像

気象衛星画像は「実際の今の」映像なので非常に参考になります。もっと勉強したいなと思いました。
上の動画の中に出てくる”バルジ”などの単語は「気象衛星画像の見方と使い方」という本の25ページに書いてあるので良ければ参考にしてみて下さい。

使える航空書籍でもいくつか紹介しています。クライムの新・天気予報の手引きなどを読み返し、渦度や低気圧の関係など総復習しました。やっぱり名著です。参考になればと思います。

着氷と捕捉率

4月も下旬になり、春の陽気となりましたが上空ではまだ冬の装いで、約7000ft以上はまだ0℃を下回ることがほとんどです。
IFRの訓練に入り、雲にも入れるようになりましたが着氷は恐ろしいので復習しました。

【着氷しやすいコンディション】
新しい航空気象p176~参照
1.雨か雲の水滴の中。
2.飛行機に衝突する時の水滴温度は0℃以下。特に、0~-10℃位が一番ひどい着氷を起こす。
3.相対湿度が高いとより起こりやすい。
4.-40℃という低温でも、過冷却水があるので注意が必用。(Cbの下方等が要注意。)
5.着氷の85%は前線帯で起こる。着氷条件の前線に平行に飛んではいけない。

【着氷の5種類】
1.雨氷・粗氷(Clear ice) 前線付近か山脈付近にできやすい。危険。
2.樹氷(rime ice)
3.霜(寒い季節に湿り気が多く地表面温度が0℃以下の時に多い。)
4.気化器の着氷(キャブレター内の着氷)
5.混同型(上の4つの混合型)

【着氷の捕捉率(collection efficiency)】
式は
(捕捉率)=捕捉率
V:速度 r:水滴の半径 R:前縁の半径

・速度が速い程
・水滴が大きい程
・当たる部分が小さい程
より着氷しやすいです。

自分用のチェックリストを作る効能

C'Llist

チェックリストをいう言葉は聞いたことがあると思います。飛行機には、手順で「これだけは間違えられない」という項目が書かれた
チェックリストという紙があり、それに沿って漏れなく操作していくというオペレーションをしています。
元々、人間は忘れる生き物だというヒューマンエラーの前提に対処するために作られたものです。

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このリストは非常に重要で、基本的に暗記した手順で操作した機器の状態を後からリストで確認するという「Do&Check」形式で
行います。しかし、空中でのエンジンシャットダウンなどは「Check&Do」と言って、リストを読み上げながら操作を行います。
読むほうも順番すら間違えないように緊張して対処します。ゆえに、チェックリストが安全の最後の砦と言われています。

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さて、そのチェックリストですが普段の生活にも使えます。
なぜなら、「何するんだっけ?」と考えている時間が無駄だからです。上にも書いたように、人間は忘れる生き物です。
習慣化するまではどうしても忘れがちですしその度に何だっけ、と考える時間を省くためにもチェックリストを作りましょう。

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私が使っているのは翌日のフライトの準備用です。持ち物リストに始まり、何時に何をする、という自分マニュアルを色んな訓練の場面ごとに作っています。
小学生の遠足の持ち物リストと変わりません。笑

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今回はウェザーブリーフィング用のチェックリストを紹介したいと思います。
どこを見ればわからなかった時に最低限確認する事項をまとめたものです。
初期訓練ではこのあたりをおさえとくことがいいと思いますよ。毎日繰り返してるとリストが不要になって習慣化します。

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WX 各チャートで見るものリスト

ASAS
 気圧配置
 寒気の流入

FXFE502上図(500hPa高度・渦度予想図)
 500hPaの特定高度線のうち冬季の5400m線=寒帯ジェット
 トラフやリッジに対応した渦度を見る。微細な渦度は無視。
 正の渦度は極大値付近に+マーク

FXFE502下図(地上気圧・降水量・海上風予想図
 気圧配置の動向
 破線の降水量(12時間前から予想時刻の間)

FXFE5782(上昇流予想図。気温・風は850hPa、鉛直p速度700hPa)
上図(700hPa=10000ft湿数、500hPa気温図)
 冬季の日本海側の気温-30℃以下=雪の可能性、それ以下=大雪
 湿数3℃未満の網掛け=曇りや雨の可能性

下図(850hPa=5000ft気温・風、700hPa上昇流)
 寒気の流入-6℃以下で雪、-6℃~-3℃で雪の可能性。0℃で雨
 低気圧前面で等温線が込み合う場所で50kt以上の南寄りの風=暖気移流=温暖前線あり。
 低気圧後面で等温線が込み合う場所で北よりの風=寒気移流=寒冷前線あり。 ※等相当温位の方がわかりやすい時がある

FXJP854
 等相当温位線が混んでいて上に凸=湿舌=大雨の可能性
 等相当温位線を高→低へと横切るように50kt以上の風=下層ジェット=大雨

◆◆

こんなところです。毎日ブリーフィング前に見ながら確認し、私は自分の「型」を作っていました。
今でもこのリストをたまに見返しています。作るのは面倒ですが、その後の時間の節約量と比べたら楽です。
みなさんも是非オリジナルのリストを作って試してみて下さい。有効なチェックリストを作るコツは、改善点を見つけたら遅滞なく更新していくことです。

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準備を漏れなく最低限するためのチェックリストで時間をどんどん節約して、余った時間で他の勉強をする。息抜きをする。
訓練時間は平等です。でも技能に差がでるのは時間の使い方の差に他なりません。

ウェザーブリーフィングを効率的に

パイロットの仕事の1つに気象の解析があります。

天気と隣り合わせで行う仕事だから当たり前。
航空法でも機長の出発前確認事項として決められています。

フライト前のブリーフィングで
目的地空港の横風は今何ノット?行ったときに着陸できるの?
ウインターオペレーションによる使用可能滑走路長は何パーセント減るの?
という質問を教官からされることが多々。

そこでおすすめのアプリが
AeroWeather Pro – Lakehorn AG
無題_

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私は訓練の初めのころ、AeroWeather無料版を使ってMETAR、TAFの表示をしていたのですが

先輩の薦めでProにしてからはその機能の多彩性からもっと早くProにしておけばよかったと思ったほどです。

というのも
METAR
TAF
に加え、
RWY長
ヘッド・テール・横風成分の表示
空港のある場所の磁方位偏差
空港の海抜高度
ノータム
降水レーダー
付近のWebcamera

といったことが表示できるからです。
しかも月額料金なく400円一回ぽっきりなので訓練生は買って損はないと思います。
使えるものは全て使って効率化を進めましょう。

TAFの発出時間変更


2013年10月17日からTAFの発出時刻が変更される。

3,9,15,21時UTCだったのが0,6,12,18時UTCになる。

また、予報期間が30時間に変更になる。(ICAO Annex3, 太平洋地域航空協定を鑑みた結果)

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朝のブリーフィングで午前6時の予報になるのはライン的には少し使いにくい気がするが。

ただ、訓練生としては5時ショーアップはないのでより訓練時間に近い時間での予報となるため使いやすくなった。

30時間の予報時間はどうだろう。精度は下がるだろうがトレンドやそのTAF自体の精度を考察するには便利かもしれない。

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話は変わって、アメリカのTAFは日本とは違ってFM~(From○○時~)という表記が事細かにされている。

参考:http://www.time-j.net/Metar

VFRが多いアメリカらしい出し方で、調べたことは無いが修正報の発出条件も日本のそれより細かいのだろう。日本のTAFはIFRしか意識していないかのように、IMCかVMCかにしか興味がないように見える。

VFRにとっては5000mなのか8Kmなのか9kmなのかはかなり重要。Vrepから空港が見えないと本当に難しい。今は9kmから8kmになっても何も発出されない。5NM以遠から空港が視認出来る重要性が気象庁ではおそらく認知されていない。

VFRで飛ぶチャーターのリージョナルジェットが増えれば変わるのかもしれないが。

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