雲上晴天 Part 2

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8月某日、伊丹空港でパイロット用のテキスト『翼の友』の著者である小嶋さんにお会いする機会がありました。

HPはこちら

以前私が翼の友のテキストをブログ内の「使える航空書籍」でご紹介してからメッセージを頂き、いつかお会いしたいなと思っていたのでやっと実現しました。
Part1からの続きです。

◆フライトの振り返り方◆

管理人   そういえばこのノート(A5サイズのリングノート)、『飛行日誌』って書いてあったので、何月何日こんなことがあった、みたいなのを書いてらっしゃるのかと思ったらテクニック集でしたね。日々の振り返りノートは別にあるんですか?

小嶋   それはやっぱりやってて、あのね(カバンからSurface3を取り出しながら)。やっぱり1日1回振り返るのは大事だと思っていて、「気が向いたらやる」じゃ、僕みたいなグータラな人間は出来ないんです。笑

あとフライトデータっていうのをつけていて、チェックアウトからずっとやってるんだけど全路線、各空港の何番SPOTから離陸までのTAXI time、あと使った燃料とかそういった感覚的なものを把握するためにやってます。
時間帯によっての各空港の混雑状況も把握したいので。

そしてこの中に『一言レビュー』をつけてます。1日1レグに1言。4月から始めたんだけどね。笑。つい最近。

管理人   なるほど。これは真似したいですね。
データもすごいですね。やっぱりフライトがある程度出来るようになると快適性や効率性の追求をされるんですか?

小嶋   そうそうそう。慣れてくると何となくは飛ばせるようにはなるんだけど、それだとなーなーになってしまうので「何でそうしたのか」「何と比較してそうしたのか」 あるいはそういう風に考えた思考過程を書くことがポイントになりますね。

管理人    「今までの経験でこうでした」というのも記録で残っていると自信だけでなく説得力も増しますもんね。

小嶋   例えば「こういう説明の仕方がよく分かった」とか、「コーディネーションが取れてなかった」などそういうのを色々とっておくのはいいですよ。最近の一言レビューでは、

『僅か1マイルでも避けるときは避ける。小さいと思って近づくと大きくなる。』

これはWX RADARは近づいてくると段々と感度が上がってきて思ったより雲が大きくなることがある。

あとは 『ショートレグであれば高度選定や巡航速度はarea of vulnerabilityを意識。』

area of vulnerabilityって聞いたことある?

管理人   無いです!

◆area of vulnerability◆

小嶋   area of vulnerabilityっていうのは「モニタリングが疎かになりやすくなるフェーズがある」というのをNASAが提唱していて、TAXI OUTから1万ftまでと、レベルオフの1000ft手前。
あと巡行から降下のクリアランスが来るであろうあたり、と降下中から着陸まで。
これがarea of vulnerability。

そこに不要なタスクが入ってこないようにするという考え。
そのAOVを確保するため早く巡航高度に達してできるだけTODを遅くすればそれだけ巡航を長くできる。

という考えを持ってあえて効率性経済性よりもAOVを意識することもショートレグでは大事なんです。

管理人   そういう情報は会社からですか?CRMの一環でしょうか。

小嶋   そうですね。管理人さんもそのうちすぐ習うと思いますよ。

◆Normal downwindが飛べると確証するには?◆

あとはこれ、『VIS 7km, FEW1000ftでNML downwindを飛行できるか。』

VIS 7kmってことはスラントレンジでいいとこ1200ft。ミニマムサークルになりますよね。1500ftのNML downwindが飛べると断言するのだったらVIS 8kmから9km。まあ9㎞は欲しいところです。

管理人   そういったテクニックで私が聞いた、というか実際にあったことなんですけど訓練でDAにシーリングがあって本当に降りられるかギリギリの時があったんですね。その時教官が「ILSのほんの少しabove行け。」って言ったんです。
すると少しだけですけどエイミングが奥になるんでRWYに近づけるんですよ。
もちろんGo aroundしたら元も子もないのでGo Around要件のギリギリを行く形にはなるんですがそしたら本当にAPCH LGTが見えて着陸できたんです。そういう所にパイロットとしての知識と技倆の価値が出るんじゃない。と教官に言われました。

ILSとpath小嶋   それは面白いね。
管理人   規定自体にバッファが取られてますからその規定のギリギリまで粘ることで目的地空港に降りたいお客様に価値を提供できる、っていうのは規定を応用出来ないと無理なことなので教えてくれた教官には感謝しています。

小嶋   そういう話がキャプテンと出来るといいよね。
最近僕は、ハーリアップシンドロームをいかに抑えるか、あるいは都合のいい情報を聞いた時、それに飛びつきたくなるのをどう抑えるか、を考えてます。
上昇中に「◯◯フィートに揺れが有りました」っていう情報がリリースされたとき、「じゃあレベルします」と言っていいのか。「いやいや朝のブリーフィングした情報から総合的に考えると一時的なものだろう。」そういうフワフワした情報に対して自分のかっちりした正しい判断が出来る思考回路とかその辺が難しい所で面白い所でもあるよね。

正解はないといわれるけど、毎日やっていたらついつい流れとか惰性とかで判断してしまうけどそういう研究とか興味を持って取り組むことは大事ですね。まあ管理人さんはそういうの調べるの好きだと思うので大丈夫かと思いますが。笑。 最近は何されてるんですか?

管理人   最近は運航関係の勉強はあまりやってません。その代り地上研修では色々なところを見させていただいています。こないだは機内食を作っている工場に見学に行ったり、あとはお休みの時にゴルフを始めました。そこで4スタンス理論について教えて下さった先生がいて、ゴルフ業界では結構メジャーなその理論はもし教官になった時に活かせるなと思いました。猫背の方がパフォーマンスが出るタイプの人間もいるから頭ごなしに背筋が曲がっている学生を叱ってはいけない、とか。いまその記事は書いています。正しいと思っていることは絶対ではない。
小嶋    へー達観してるねー。確かにそうだね。常識的にああするべきだろう、とか考えることをしなくなってしまうよね。のこないだあるフライトで天気的に厳しいレグがあってマネージメントの練習のためにやってみたかったので、その時頼んでPFをさせてもらったんですよ。でも結局ダイバートになってしまってそしたらPMのキャプテンにお世話になってマネージメントがもう少し出来たらな、と思ったことがありました。我を通すのは良くないけれどやはりそういった場面でも相手の意見を覆せるだけの主張や考えがあればいいなと思ったね。
管理人   日々危機感を持って向上心を保つために何かやっていることはありますか?

Part3に続く。

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About KC
Pilot訓練生5年目。事業用操縦士・多発限定・計器飛行証明取得。

3 Responses to 雲上晴天 Part 2

  1. mikiowing says:

    とりとめのない話を、大変うまくまとめて下さってありがとうございます。
    ここ数日は離陸してみると、予想していたよりも天気が悪い(気流・雲)状況が続きました。こういった状況ではいかに先入観を捨てて、現状に即した判断をするかがポイントだと思いました。予想よりも天気が悪い→変化が早い(または予想が下手。。。) ともいえます。
    事前のプランニングで改めるべき部分を素早く判断することが大切だと思わされました。

  2. ピンバック: 雲上晴天 Part 3 | Flyingfast

  3. ピンバック: 雲上晴天 Part 4 | Flyingfast

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