航空機の速度(TAS、CAS、EAS、IAS、GS)って?

航空機の速度(正確には対気速度)には様々な表示方法があります。
よく知られているのはTAS、 CAS、 EAS、 IAS、 GS
といったものです。

 


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訓練初期の訓練生にはわけがわからないと思います。
私もはじめの頃、よくわからず何とか学科試験に間に合わせの知識で対応していました。

結論から言うと

IASとTASだけでいいです!

定義を見てみましょう。耐空性審査要領より、
2-3-1
このお要領において「指示対気速度(IAS)」とは、海面上における標準大気断熱圧縮の速度を表すように、目盛りが付けてあり、かつ、対気速度計系統の誤差を修正していないピトー静圧式対気速度計の示す航空機の速度を言う。
2-3-2
このお要領において「校正対気速度(CAS)」とは、航空機の指示対気速度を、位置誤差と器差に対して修正したものをいう。海面上標準大気においてはCASは真対気速度(TAS)に等しい。
2-3-3
このお要領において「等価対気速度(EAS)」とは航空機の校正対気速度を特定の高度における断熱圧縮流に対して修正したものをいう。海面上標準大気においては、EASはCASに等しい。
2-3-4
このお要領において「真対気速度(TAS)」とは、かく乱されない大気に相対的な航空機の速度をいう。従って、TAS=EAS(𝜌0𝜌)1/2となる。ここにρは、その時の大気状態における空気密度をいい、𝜌0は海面上標準大気の空気密度をいう。

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定義だけあって過不足なく書いてあるんですが初見だと意味がわかりませんね。
では、一つ一つ見ていきます。

◆参考文献はこちら◆
かなりまとまってて訓練生ならば絶対買って損はない内容となってます。
ただ良本なためか最近は売り切れているみたいです。

図解 よくわかる航空管制

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TAS
True Air Speed
まず、大前提として、上の速度の中で存在しているのはTASのみです。”True” Air Speed、
つまり”真”対気速度という名前は、“存在している”という意味でもあります。
TASというのは航空機が受けている対気速度そのものです。
TASは本来その速度を、直接計測をすることはできません。圧力と温度が関わってくるからです。その関係は下の図のようになっていて高度が上がれば上がるほど高くなっていきます。
また、TASは運航に際して最も重要な速度です。TASによってナビゲーションと到着予想時間(ETA)を出すからです。

tas speed

図1.TASとSpeedの関係
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   GS
Ground Speed
対地速度のこと。100kt飛んでいるつもりでも風が前から10kt吹いていれば対地的には90ktでしか進んでいません。飛行機は大気に対して飛びます。川の中の船のようですね。
私たち訓練生のフライトプランには風は入っていません。ですので到着時間はその日の風で変わります。
ちなみに管制官が見ているのは実はGSのみ。だからエアライン機に対して”Report speed”とか聞いているんですね。風も考慮して5NMの管制を行っているなんてすごい!
”Report spot wind”なんて聞いたりもしていますが、結局は経験と技術。尊敬です。

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EAS

Equivalent Air Speed

EASとは、ある高度をVTASで飛行する時に空力的に同じように作用するような海面上での速度のことです。
具体的に考えた方がわかりやすいでしょう。
海面上6500ftを飛行している時、標準大気(海面上15°)においては、VTAS =163ktで飛行したとしたらVEAS=148ktです。
この意味は、「高度6500ftを163ktで飛ぶ航空機が同じ姿勢で海面上を飛ぶとしたら、どのような速度で飛べば機体が受ける空力的力が等しくなるのか」を表している、と言えます。
ですから、耐空性審査要領の中も航空機の性能に関わる重要な速度(失速速度や運用限界速度など)はEASで表現することになっています。
※計算方法は流体力学の範囲なのでパイロットとしては興味があれば知っていればいいくらいなので割愛します。

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CAS
Calibrated Air Speed
CASとは一言で言えば速度計の目盛りの速度です。
飛行機の速度はピトー管の先端にかかる全圧と静圧孔にかかる大気圧の差で測っています。
※ピトー管については航空力学の教科書等を読んでください。
これを「差圧」と言います。
海面上の工場で出荷時にVTAS=148kt分の差圧をかけ、その時の針が指している位置に速度計の目盛りの線「148kt」を引いていると考えてください。
上空では密度の違いからEASとCASには誤差が出ますが、
速度が遅い(250kt以下)のでEASとほとんど同じ値になります。
※詳しくは流体力学の本を読んでみて下さい。
具体的には上の例だと6500ft、148ktではEASとCASには0.2kt程度の違いとなり実用上無視できます。

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IAS
Indicated Air Speed
IASとはパイロットが読んでいる速度、のことです。
対気速度を勉強する中で一番初めに私が理解しにくかったことです。
CASで目盛られているのに自分が読む速度はIASである。とは?
と、なりました。じゃあ失速速度もずれて危険なのではと考えたからです。
しかし、それは頭でっかちな考えです。飛行機を運用するには実質IASとTASだけでいいからです。
計器の取り付け位置が理想的ならばいいが、実際違うので表示されている速度は取り付け位置誤差を含む。それを読んでいるからIndicatedなのだ。というか難しく考えるのはパイロットらしくない、シンプルに必要なことだけ覚えろ。と教官は言っていました。
取り付け位置は変わらないので誤差もどんな高度でもほぼ一定です。
例えば、初期訓練で乗っていたA36という機体のIAS=CAS+2ktでした。どの高度を飛んでいても誤差2ktはほぼ変わらないのでCASで設定された失速速度をIASに変換した値をを覚えてればいいだけです。
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◆まとめ
パイロットとして行うこと
航法上必要、かつ存在するのはTASのみ。だからTASを求めたい。

_________________
TAS (求めるもの)
↑高度の変化を考慮
CAS(機械的な計算で決まる)
↑計器の取り付け位置誤差を考慮
IAS(計器上の表示)
_________________
これだけです!

◆◆

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使える航空書籍】 訓練の中で使用して良かった参考書を厳選紹介。
BOOKS】読書してオススメだった本。
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もご覧いただけます。

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About KC
Pilot訓練生5年目。事業用操縦士・多発限定・計器飛行証明取得。

3 Responses to 航空機の速度(TAS、CAS、EAS、IAS、GS)って?

  1. ころん says:

    為になる、説明ありがとうございます。
    やはり、本だけだと、分かりにくい所があるので、説明していただけるとありがたいです。
    これからも、なにかあればお願いします。

    • KC says:

      ころんさん

      コメントありがとうございます。耐空性審査要領など、事細かに記述せざるを得ない資料はいっぱいありますが、そういったものを抄訳して記述できるようにこれからも精進していきたいと思います。

  2. Hits says:

    IASからTASもテーブルにして見やすくしておくと良いと思います。ALTとTEMPで予め数値を算出して表にするのがお勧めです。

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